2005(平成17)年~
六代目社長赤坂正 大工育成・プランニング力・防災対応力強化

2005(平成17)年~
六代目 赤坂正

 赤坂建設の六代目現社長である赤坂正は、三代目故芳雄、四代目で現会長直子の長男として、昭和40年2月7日に誕生した。父の仕事ぶりを間近に見て育ったと思いますが、小さい頃から跡を継ぐという気持ちだったのですか?という問いに『長男なので周りからはそう思われていました。でも私は内心、パイロットに憧れていました。学校が休みの日は現場で仕事の手伝いをさせられるのが常で面白くなかったのかもしれません。小学生の時は釘拾い、中学生の頃は木っ端拾いをしてストーブの燃料にしたりして、材料をムダにしない心を学びました。

父故芳雄と ビデオ映像より

高校に入るとツーバイフォーのフレーミングを教わり、釘の斜め打ちなどを習うあたりから「これは面白い」と思いました。父はツーバイフォー普及に命を賭けた人でした。私にはツーバイフォーの文字が入ったステッカーを「学生鞄に貼れ」と言われた。

大学時代 卒研 母、妹と

高校を卒業後、憧れを実現するために両親には内緒で思い切って航空自衛隊の試験を受けて合格、配属されるところまで話が進んでいました。両親の反対などもあり、最後の最後で思いとどまって、大学に進学し、建築の道に進もうと決めました。』北海道東海大学芸術工学部建築学科時代は彼にとって大変有意義なものだった。1985年“全国学生住宅提案競技”で入選。翌年1986年には日本建築学会主催“環境設計競技「屋上の設計」”で再度入選。その実績により1987年北海道東海大学松前学長より奨励賞を受賞した。

 大学1年の冬父芳雄が突然胃がんで病死した。母直子は、自らトラックを運転し、現場で陣頭指揮をしながら、社長として奮闘し、この危機を乗り越えました。彼も休みは家業を手伝い、在学中は大学の勤労学生として奨学金を受けながら大学に通って無事に卒業することが出来ました。それにしても母直子のバイタリティー溢れる仕事振りには息子正も驚き、感謝の気持ちであったと云う。

 1987年大学卒業後、若いうちに本場の技術を学びたいという気持ちから、カナダに武者修行の旅に出かけた。バンクーバーとエドモントンの2都市に約2年間滞在し、設計事務所で本場のデザイン、技術を吸収した。

エドモントン市 HASHIMOTO BOLES事務所
バンクーバー市 TOMIZO YAMAMOTO事務所

 1987年から1988年の1年間はブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバー市にあるTOMIZO YAMAMOTO ARCHITECTに勤務。1988年から1989年の残りの1年間はアルバータ州エドモントン市HASHIMOTO BOLES ARCHITECTS INC.に勤務した。

バンクーバー時代
エドモントン時代

 このカナダ時代彼は素晴らしい時を経験した。日本人スタッフ、外国人スタッフに囲まれてのコミュニケーションはその後の人間性を非常に高めたと思う。彼の優しさと思いやり、ソフトな語り口は優雅で誰からも好印象で迎えられているが、それはおそらくその時代につくられたに違いない。

カナダ モレイン湖 母達と
住宅模型
建築途中の住宅
バンクーバーショーナシー地区に竣工した住宅

 カナダでの設計の仕事は多忙を極めた。その中で一例を紹介して貰った。かなりの規模の住宅である。下の立面図がそれで、右の三枚の写真は上からその模型、建築途中、下が完成写真である。カナダの大自然には圧倒される。こんな環境での仕事は羨ましいと思う。母直子と後の佐竹夫人になる幸恵さんが息子のいるカナダを訪れた時のスナップ。背景は、美しいモレイン湖である。

カナダ時代に担当した図面

 帰国後常務取締役として活躍。1991年北海道主催「北方型住宅モデル50選」設計コンテストに応募し奨励賞を受賞。作品は、「茶室のあるアトリウムの家」。カナダのエドモントンで建築設計事務所を運営する橋本潤一さんが基本設計したものを、彼がコンテスト基準に合わせて図面を描いた。

「茶室のあるアトリウムの家」

 1992年米国カレドコ社主催「CORADO住宅施工例コンペティション」で第2席に入選した。

 1999年専務取締役、2005年代表取締役として六代目社長に就任した。2010年には十勝2×4協会の七代目会長に就任。十勝2×4協会は昭和54年(1979年)に亡父芳雄が中心になって結成し、芳雄が初代会長を務めたものであり、32年を経て息子が父とともに再び会長に就任したことの意義は誠に感慨深いものだ。ここで彼に海外で学んだことは、家づくりにどう生きているか、またその家づくりの考え方を聞いてみた。

K様邸

『数年間海外にいたことで、日本を意識するようになりました。北米発祥のツーバイフォー工法ですが、そのまま使うのではなく、十勝に合ったツーバイフォーとは何かを常に意識するようになりました。風土とかかわる家づくり、そして10年、20年経っても飽きがこないデザインの家を目指しています。』『デザイン面では、北米や北欧のデザインをお手本にしながら、十勝の風土に合ったものにしています。たとえば、北米では複雑な屋根形状の家が多いのですが、雪の多い十勝では問題が出る可能性があるので、北米のデザインはそのままは採用していません。また、冬の寒さを考え、いち早く北欧の木製トリプルサッシを採用するなどの工夫もしています。』

M様邸
O様邸

 今後挑戦したいことは?の質問には『北方型住宅ECOには建設の実績からパッシブハウスなど大震災後の新エネルギー対応型の住宅づくりを考えていかなければならないと思っています。最近は道産材の活用が増えました。当社や十勝2×4協会でも、道産カラマツ材を使ったツーバイフォー工法住宅に取り組み始めています。設備ではオール電化以外にCO2排出量が少ない「エコジョーズ」などのガス給湯・暖房システムの導入なども進めています。』

K様邸 北方型住宅ECO

 赤坂正の趣味は写真、剣道、オフロードバイクなど多彩。その中でも写真の腕前はまさにプロ級を誇る。1998年(平成10年)池田町は開町百年を迎え、記念事業の一環として十勝ワインフォトコンテストを全国公募した。全国から132点の作品が寄せられ最優秀賞グランプリに“歴史的建造物と歴史的飲用物”と題された彼の作品が選ばれた。翌年には町内の画廊喫茶ムーンフェイスで彼の初写真展が開かれた。2010年にはシーニック「トカプチ」フォトコンテストでデジタルカメラ部門で最優秀賞を獲得するなど、写真家としても活躍をしている。感性に富み、世界の子供達を捉えた写真は愛情溢れる眼差しで表現され、彼の柔和な性格が写真にも表れている。

画廊喫茶ムーンフェイスで初写真展 1999年
十勝毎日新聞 1998年9月22日

6代目社長、赤坂正の挑戦は現在も継続中です。

なども参照お願いします。